はじめから、「合宿」と呼ばれるスタイルで免許を取ろうと思っていた。
こちとらしがないミュージシャンである、稼ぎは少ない。
それに、ややこも2月末には出てきてしまうから、それほど時間的余裕はない。
普段ならば、安かろう悪かろうだし、のんびりと取得に励みたいものだが、背に腹は変えられぬ、取ってしまえば同じ事、それに、しがないミュージシャンであるからこそ、まとめて通うことも可能なのだ。それで「合宿」にて取得、と相成った。
ではどこに行くか、となるが、これはやはり鳥取がよかろう。
「合宿」の場合、その教習所に本籍がある場合は受け付けられないらしい。あくまで県外のひと対象なのである(これは後々理由がわかる)。
鳥取は妻の地元だが、僕も妻も、本籍地は千葉の浦安になっている。だから合宿に参加することはなんら問題ないはず。市内には三カ所の教習所があり、どこも「合宿」を開催していたが、せっかくなので、妻がかつて卒業したという「鳥取東部自動車学校」に通うことに決めた。
となれば、敵情視察、ではないが、入学前に一度東部自動車学校に行ってみることにした。
そこで、受付のお姉さんに「合宿」について聞いてみると、マニュアル車(以降:MT車)の場合、入学から卒業までの期間は15日間で、その間の宿泊ホテル、朝昼晩の食事はすべて込みで、22万円ということだった。しかも、僕の場合は千葉からの入学となるので、行き帰りの交通費が1万円づつ、計2万円支給されるとこのこと、したがって実質20万円だった。
この安さには驚いた。
ただし、その時もらったパンフレットには、こんな注意書きがあった。
「22万円保証は30歳まで」。
要するに、31歳以上の人は、仮免試験・仮学科試験とやらに落ちてしまったら、予定が延びるので、その後の宿泊食事はすべて自腹でいかなければならない、とのこと。
実は、16歳のとき、原付の免許を取得したことがあった。
その時は全く勉強せず、教習所がやっている早朝の講習だけ受けて試験に挑んだが、見事合格であった。技能講習の方は、千葉には珍しい大雪で、まあ今回はしょうがないから各自やってください、ということになり免許をもらった。
そのときの感覚があり、仮免試験というのがなんのことかは全く分からなかったが、まあ、なんとかなるだろう、楽勝さ、と思っていた。
そう、正直、高をくくっていたのである。
全く、なめていたんである。。。
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