2013/01/13

豆ずきん×風博士


あれはまだ僕が結婚する前のこと、三年間放浪していた「風まかせツアー」の終盤に、ひとつ企画というか、どうしてもやりたくなったことがあって、当時旅の報告にとやっていたブログで「風豆くんが行く!」というコーナーを立ち上げたのだった。

コーナーの内容は簡単なもので、風豆くんと、ライブに来てくれたお客さんとか、お店の人とか、身の回りの人と一緒に写真を撮ってブログにアップするだけのものだ。

なぜそんなコーナーをつくったかというと、独り孤独に病気に立ち向かう友人を応援したかったから。
その友人とは、風豆くんの生みの親、豆ずきん作家の高田テルヨ氏である。

風豆くんは、豆ずきんの風博士バージョンで、つまりはスペシャル豆ずきんなのだった。


豆ずきんは、さやから飛びだした豆をモチーフにした、言わば小さなぬいぐるみである。
しかし、ぬいぐるみとは言っても、どこかしっくりとせず、改めて何かと考えれば、確かに「豆ずきん」としか言えない風情だ(だからこそ、豆ずきんとは、素晴らしいネーミングである)。

豆ずきんは、愛らしい表情でどこか可笑しく、初めてみたときは「ナニこれッ!おかしいー!フフフー」といった感じなのだが手に入れてしまえば妙に馴染む。障り心地も形も良くて、ついムニムニしたりする。しまいには名付けて話しかけてしまったりする。


そんな豆ずきんを作り出したテルヨ氏が、2011年1月、悪性リンパ腫、つまりは癌になってしまった。
その報せを聞き、テルヨ氏のそのときのブログを読んで、僕は涙した。
右手が腫瘍に圧迫されて動かないのだという。
ましてやその原因が癌なのだ。
これで生きて行く!と定めたものが、その道を奪われる。
その絶望感たるや、想像するだに胸が締め付けられる。

僕は、たいした意味はないかもしれないが、なにもせずにはおれない、という気持ちで、風豆くんが行く!を始めたのであった。
おせっかいにも、当の本人に、毎回チェックするように言いつけて。



あれから二年、テルヨ氏は脅威の快復力でもって癌を克服、ほとんど動かなかった右手も動くようになり、今ではまた豆ずきんを作るようになった。これはもう、驚異的にすごいことである。

そして2013年2月11日、風博士と豆ずきんは一緒にイベントをする。

今回のイベント、事の起こりはテルヨ氏の病気であり、風豆くんが行く!であったけれども、お互い、ある意味、手作り作家の自営業者として、友人を巻き込んで、なにか面白いことをしよう!ということだ。

会場はテルヨさんも常連のアイタルガボンさん。テルヨさんと僕がトークすることになったので、司会を共に気心の知れた友人であるガケ書房の山下さんにお願いした。

そういったことのできる健康な身体であることを感謝して、イベントを楽しみたいとおもっている。

ちなみに、当日、僕は書き下ろしの曲も用意して行く。
もちろんその歌は、豆ずきんの歌である。
作詞はなんと、テルヨさんなんです。
お楽しみに。

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