2011/07/02

不思議な偶然もあるものだ

不思議な偶然もあるものだ。


まだ旅に出る前だから、かれこれ四、五年前、まだ京都で活動している頃、長野ツアーを企画した。ところが、出発直前になって、長野まで車をだしてくれることになっていた友人がどうしても駄目になってしまった。そこで、とりあえず、一番暇そうで、ノリのよさそうな友人に、駄目で元々、「明日、長野に行かん?しかも、運転してくれん?」と声をかけたら即答で「あ~~、まあ、ええで~」。


早朝京都を発って、夕方長野に入り、そのまま夜にライブ、という予定。彼との長野への道すがらも色々と間が良くて、楽しい道中になった。とにかく話題と笑いの絶えない車内で、彼は数年前に旅をしたメキシコで出会ったという女の子のことを話し出した。その子なぁ〜、今、長野のカフェで働いているらしいねん。会えたらええな〜、あ、せっかくやしメールしてみるわ~。あ、せっかくやし、今日の風のライブに誘ってみるわ~。


その後も僕たちは、どうでもいい、でも旅を盛り上げるには充分な、小さな奇跡を繰り返しながら(長いトンネルの中で友達のバンドの話をしていたらトンネルを出たラジオからそのバンドの曲が流れ出したり、穴場とされる駐車場で最後の一つだけ空いていたり、まあそんな類の)、長野市内に入った。


着いたその足ですぐリハーサルの予定だったので、会場のネオンホールに向かった。ネオンホールのすぐ前の細い道に差し掛かると、なんだかいい感じで歩いていた女の子を追い越したので、僕は助手席の窓から身体を乗り出して、その子に向かって大きく手を振ってみた。知り合いだからというのではなくて、まあ、本当に、なんとなく、予感がして、手を振ってみたのだった。そしたら彼女も、誰?という感じで手を振り返してきた。運転してる友人が、知り合い?と聞くので、いや全然知らない人、と訳の分からない会話を交わした。なんやそれ、と突っ込まれた。


ネオンホールの前に車を停めてすぐ、彼女が車に追いついた。手を降られたもんだから、誰だろう?と思って急ぎ足で来たのである。車の中を覗き込んでも、もちろん僕は知らない人だが、彼女が運転している僕の友人を見て声を張り上げた。あれ!まっさんじゃないですか!

当のまっさんも、お~?!ちゃんしまやんか、と声を上げた。

なんと、道中の話で出て来たメキシコで出会った女の子であったのだ。


聴けば、彼女、ちゃんしま(まっさんがこう呼んでいた)こと島田さんは、ネオンホールの目と鼻の先にある日和カフェというところで働いていて、たまたま所用で近くを通りかかったのだという。そしたら、陽気なお兄さんから手を振られた、と。

ネオンホールのことももちろん知っていて、今夜のライブにも来てくれることになった。その日から僕も彼女のことを「ちゃんしま」と呼ぶようになり、長野に来る度に顔を合わせる仲になった。風博士のこともとても応援してくれ、彼女が店長を勤める日和カフェでもよくライブするようになった。その後も京都で偶然あったり、ただ単に飲みに行ったり、彼女が新しくつくったフリーペーパーに出してもらったりと、仲良くしている。


そんなちゃんしまが、日和カフェを辞めて本屋を開くと言い出したのはそんなに前のことではない。僕はもともと本好きでもあるし、今までも本屋さんでライブしたり、裏店長を務めたりと縁が深い。ちゃんしまにも色々と口を挟んで、オープン記念には是非とも歌わせて欲しい、と打診した。最初に聞いていたオープンまでの日程は、そんなのできるの?というものだったが、彼女たちは物事を進める力がとっても強くて、当初の予定よりは多少遅れたものの、本日、2011年7月2日、オープンする。その名も「チャンネルブックス」。http://chan-nel.jp/ もちろん、僕は歌う。


ちゃんしまは、長野では「しまてん」と呼ばれていた(島田店長、の略)。最近、日和カフェを辞めて、店長のてんが取れたと言っていたが、新しくチャンネルブックスの「ちゃん」が付いたのであった。それは奇しくもまっさんが呼んでいた「ちゃんしま」であった。ちゃんちゃん。






と、まあ、ここまでだったら、良くある話。


昨日、明日はチャンネルブックス開店記念ライブだなあ、などと考えていたら、メールが来た。懐かしい、京都のまっさんからであった。曰く、長年いつやるんやと言われ続けて来たカレー屋をようやくオープンする、と。四ヶ月間かけて自分で作っていた店舗が先日ようやく完成したと。


まっさんのカレーは旨い。まっさんは昔、京都西木屋町のBarUSAGIで、お昼にカレーを出していて、僕はよく食べに行っていたのであった。まっさんのカレーのことを僕はマサオカレーと呼んでいた。そのカレーは辛いというよりも深い甘みとほどよい酸味、ピリッとスパイシーな、旨いカレーだった。とても印象深い味で、今だってときどき食べたくなる程だ。



メールの最後にこうあった。オープン日は、2011年7月2日です、と。

karahicurry

8月頭、京都に寄る。
今からまっさんのカレーを食べるのが楽しみでならない。



今日から始まる二つの新しい場所に、心から、おめでとうございます。



1 件のコメント:

  1. マサオカレー2011年7月9日 18:50

    ご無沙汰です。
    まっさんです。

    風博士のブログを見てきました、
    という方が、
    確認できるだけでも
    2組店に来ていただいて、

    ブログを覗いてみてんけど、
    こういうことになっててんな。

    店の生年月日が一緒って
    奇遇やねえ。
    ちゃんしま、おめでとう。
    長野に行ったら必ず行きます。

    それにしても、
    長野は最高やったな。
    蕎麦喰って、
    温泉行って、
    蕎麦喰って、
    温泉行って。

    それにしても、
    ”知り合い?”
    ”ううん”
    ”ええ!!!”
    のやりとりは、
    今でも鮮明に覚えてるわ。
    これからも
    色褪せることは、
    ないと思う。

    ほんじゃあ、
    来店、
    楽しみにしてます。

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