2017/08/04

ツアー覚書

2017年7月21日から7月23日 福岡~佐賀

21日の早朝、岩美を発つ。お昼に姪浜着。ミヤタケタカキ(以下ズル)と合流し、あまりの暑さに車の中で一緒に演奏する曲などをリハーサル。夜、福岡姪浜オオカミの口4周年記念ライブ。そして打ち上げ。よい打ち上げだった。楽しいオオカミの口の仲間たち。良い出会いもたくさんで、こういう人たちがいるならば、オオカミの口はなんだか安心だと思った(なにせ功一さん優しくて真面目で、頑張りすぎてしまうときがあるから心配なときがあって)。宴は深夜を過ぎて朝方まで続いた。

翌日はとりあえず昨晩早々に撃沈したズルが運転してくれることになって、福岡と佐賀の間で温泉に入る。そしてritmusへ。ritmusでは、先日の集中豪雨で被災した方々に何かできないかとチャリティーバザーも開催されていた。売り上げの全部を寄付するという。好みのものがたくさんあって、たくさん買った。

ritmus北島君に、クロモジというカフェに連れて行ってもらう。山の中の土地を買い、開拓してご自分で家を建てたそうで、僕の理想をすでに実現されていて(しかも十年近く前に)、本当にいいものを見せていただいたと感動し、感謝した。

夜、ライブ。初めての土地でのライブ、たくさんの方にお越しいただき、ありがたかった。

ritmusでは前田さんのガラス展も開催されていた。つまりその夜は、長野、香川、鳥取が佐賀で出会ったイベントであった。こういった、東京を介さずに地方と地方を結ぶイベントを、地方で開催するというのは、自然な流れであるだろうし、とてもいい流れであると思う。日本各地の点と点がゆったりとした線で結ばれているイメージがあって、そのイメージにはずいぶん助けられている。

ズルと、北島くんと、夜中まで語らう。恵美さんにお会いできたのが嬉しかった。
昼にritmusを後にして、岩美に帰り着いたのは深夜だった。
寝静まる家族たちにただいまを言って一人。




2017年7月28日から7月30日 金沢~松本~長野

28日、昼過ぎ、家事を済ませて岩美を発つ。目指すは学生時代の親友ファミリーが住む金沢。はじめて通る道はそれだけで楽しく、道中はあっという間である。夕方、金沢に着く。十年近くぶりに会う親友は、ずいぶんとまんまるくなっていた。あんなにシュッとしていたのに。まあお互い様か。かわいい子供たちと遊びながら、年月の隙間を埋めるように時間は過ぎて行って、朝、金沢を後にする。

昼過ぎ、長野大町の木崎湖に着く。松本にある栞日の菊池くんが企画したALPS BOOK CAMPに参加するため。去年の様子などをウェブで見ていたからよいイベントだろうことが想像できたが実際によいイベントだった。
例えば、ステージがつくられていて、それは諏訪にあるRebuilding Center Japanの東野さんが制作したということだった。今回はじめてご挨拶したが、僕はリビセンのファンで諏訪にまで足を延ばしてリビセンに行ったこともあった。ステージは素直に「あー、いいなあー、素敵だなあー。リビセンの仕事だなあー」と思うステージで、そこで歌えることは本当に喜ばしいことだった。

ステージでは、歌っている最中に、ひざ上で何かがうごめいていて、みると蝉の幼虫であった。蝉はそのままギターまでのぼり、少しの間じっとしていた。このまま羽化されても困るので、曲間、ステージを中座して幼虫をステージの後ろの木にのせてあげた。

イベントは大盛況で、雨模様だというのに、たくさんの人がABCを楽しんでいた。実は、昔から、大きいイベントはあまり得意ではない。そこにいる個々の人々が見えにくくなるからだと思う。素晴らしかったが、僕にはちょっと大きすぎたイベントだった。

それでも、何年かぶりに会うひとがいて再会を喜んだり、新しい知己を得たりした。それは純粋にうれしいことで、活力になる。

その晩は湖畔で寝て、長野入り。

長野では、ヤスミとシンカイで歌う。昼過ぎにシンカイについて、小林くんに挨拶する。初めて会ったのだが、男前でナイスガイ、スマートでおしゃれ、しかも可愛い彼女までいる。これは腹が立たない方がおかしくて、僕も同様に腹が立ち、すぐに好きになって、仲良くなった。

シンカイは店ではなく、小林くんの家である。かつては学生時代の友人と共同生活が営まれていた。ただし単なる家ではないのであって、一階を限りなくオープンなスペースとして位置付けてイベントを催したり、友達と飯を食ったりしている。

懐かしい顔を前にしたライブは、予定よりずいぶん長く歌ったが、まだまだ歌い足りない気分だった。僕はこれくらいのスペースで、じっくり歌う方が性に合っている。

深夜、ヤスミの名曲「コーヒータイム」を三人でずっと練習してた。
何時だかよくわからない頃、シンカイの二階で、就寝。

朝起きたら、小林くんが、彼が出会ったちょっとした物語と共に、コーヒーを淹れてくれた。学生時代のころ、ひょんなことから、コーヒーの淹れ方を教わった話。

小林くんは27歳であり、僕は27歳のときに風博士を始めた。当時、僕も共同生活を営んでいた。

シンカイに漂う共同生活の風を感じていたら、当時の自分の共同生活の喧騒と静寂がよみがえってきて、どうしてもここの空気を持ち帰りたくなり、小林くんに無理を言って風博士のCDと、シンカイの灰皿を交換してもらった。