2012/02/09

36歳、免許がない!その3


いよいよ合宿スタートの日。


僕は教習所の入校説明室というところにいた。
明らかに18、9歳の青年たちに囲まれて。
彼らは同じ学校の仲間内なのだろう。
高校生らしくふざけあって、溌剌とした笑い声で賑やかだった。
他にも何人か若者がおり、部屋の中には全部で12〜3人くらいだったろうか。
彼・彼女たちは、今日が入校、言わば同期である。
しかしもちろん、年齢筆頭は、誰がどうみたって、僕なのであった。

分かってはいたものの、最初に思ったのは、「まいったなあ。。。」であった。
明らかに浮いているんである。
仕方なしに、僕はノートを取り出し、敬愛する種田山頭火よろしく、自由律俳句を一句詠んでみた。

「ぽつんと36歳」

うむ、なかなかの句ではないか、なにより今のオレの心情が余す所なく表現されている。句としてもうまいこと、ぽつんと感が出ているなあ、などと悦に浸り、まあ、流石にそこそこ齢を重ねていることもあって、己の目的(免許取得)を思い出し、気が付けばいつの間にやら始まっていた入校説明に耳を傾けた。

いろいろと合宿に関する注意事項が述べられ、最後に、今後の予定表が配られた。
僕はそれを見て目をひんむいた。
一週間後にあるという仮免許試験まで、朝から晩まで、授業と実習で埋め尽くされていたのであった。

なんだこれは?
合宿とはこんなにハードなものなのか?

合宿という制度の肝は、短期間、というところにある。
短期間で多くの生徒を送り出すことで、初めて安い値段で提供できるわけだ。
だから、カリキュラムはぎりぎりまで詰め込んであるのである。

「およそ一週間後に、仮免許試験がありまして、技能検定と学科試験があります。そこで不合格ならば、居残りになってしまいますので、みなさん頑張ってください」

居残りとは要するに、卒業が延びるということである。
それは同時に、それだけ費用が上乗せされるということを意味している。
しがないミュージシャンとしては、それだけはなんとしても避けなくてはならない事態だった。

そして、指導員の方はおっしゃった。
「今日から車に乗ってもらいます」

そして怒濤の合宿生活が始まった。。。

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